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新月村篇・後/8
「もっと、欲しい・・・です。 わたしもあなた、が欲しい」 甘い囁きに、知らず剣心の熱が高まってゆく。 巴はぐいと強く両肩を引かれて、剣心の懐に抱き込まれた。 「・・・っ・・・バカ。 煽ってるの?」 一瞬巴の動きが固まって、彼女は大きな瞳を熱に浮かされたかのように 潤ませる。 「―――です」 「え?」 消え細るような声が聞き取れず、剣心はうっかりと聞き直してしまった。 巴は首筋まで赤くさせると、顔を上げてはっきりと告げる。 「そう、かもしれないですって云ったんです!」 ぎゅっと巴は揺れる剣心の髪の先を掴んだ。 手繰り寄せれば簡単に剣心と巴の顔が触れあうほどに近づいた。 ちゅ、と軽く唇を合わせ。 そのまま彼女は、彼の首筋に噛み付く。 まるで先ほどの仕返しといったように。 「と、もえ・・・」 困ったように剣心は空いた手のひらで目を覆った。 「あのさ、俺我慢してるって云ったよね?」 「忘れました」 「・・・・・・」 数瞬の沈黙の後。 剣心は巴の裾を割って、するりと右手を滑らせる。 「あ、」 「声を上げそうになったら、噛み付いてもいいから」 腰や大腿を這い回る手のひらの感覚に、 きゅっと巴は唇を噛む。 自分の身体が、歓喜で満たされてゆくのが彼女にはわかった。 逢いたかった、触れたかった、触れて、欲しかった――― 「我が儘、ですけれどわたし・・・は、あ、ああっ」 剣心は巴の声を堰き止めるかのように、その唇を塞ぐ。 「そうだ、ね。 お互い様、かな?」 己のくすりとした笑いも、彼女の唇の奥に沈めて。 巧みに動く彼の指先はそのまま、巴の深い部分を穿ってゆく。 「ん、ん・・・っ」 ぬるりとした感触を確かめながら。 彼女の帯も緩めずに、剣心はやがて腰を彼女の足の間に割り込ませた。 「・・・苦しかったら、云って?」 「あ!あぁ・・・っ!!」 普段より性急に、剣心が巴の中に身を沈めた。 思わず上げた声を抑えようと、巴は無意識に己の指を噛もうとする。 しかしそれより早く。 剣心がするりと親指を彼女の口腔に差し入れた。 「んん・・・っ」 「いいから、噛んで。 まだきつくなるから」 「ふっ、ん・・・ん・・・」 ぐっと結合を深めると、巴の遠慮は快楽の波に攫われてゆく。 剣心も巴も、殆ど衣服を乱さずに。 ただ身体を密着させて抱き合った。 「・・・っ、ん、ふっ・・・」 強く揺さぶられる度に、嬌声があがりそうになる。 反射的に声を抑えようとした巴の白い歯が、 ぐっと剣心の指を噛み締めた。 「・・・つぅ」 想像以上の力に剣心が微かに顔を顰める。 だが身体はそんなことはお構いなしに動き続け。 彼女に快楽を与え続けた。 こんな力で噛み締めさせるほど、彼女を狂わせているのが 自分だと思うと、剣心は指の痛みさえどこか嬉しく感じていた。 ■次へ ■『京都日記』目次へ戻る TOPへ |