杜鵑草/7-6

「もう、たくさん―――!」
巴は眼球が熱く灼けるような目眩を覚えた。
もう、たくさん。
これ以上、飯塚に踏み込まれるのはご免だ。
わたしは。
わたしは。

「未熟だと軽蔑されても、呆れられても仕方ありません。
 これは私怨です、わたしはわたしの為に動いている。
 ・・・あなたは、邪魔を、しないで」
飯塚が一瞬瞠目して。
やがて大きく唇を歪めた。
「へ、え・・・」
先ほどまでの冷徹な瞳の光が掻き消えて。
再びあからさまな悪意を巴へ向けてくる。
「わたしの、役目は抜刀斎の弱点を探ること。
 それは、ちゃんと果たします。
 けれど」
先ほどまで戦慄いていた背筋が、綺麗にぴん、と伸びた。
生温い風が、彼女のうなじの後れ毛を揺らす。

「・・・けれど、彼はわたしの標的です。
 こればかりは譲れない。
 わたし以外の、誰にも手を出させない。
 わたしが、わたしの」



わたしだけの仇なのだから。
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