杜鵑草/7-5

「・・・・・」
剣心は疲れたかのように目頭を押さえた。
呑まれるな。
この女性(ひと)の深く激しい“それ”に呑まれるな。
動けなくなる。
立ち止まってしまう。
俺は。
俺はまだやらなきゃならない。
そうしなければ何のために。
何のために、俺は―――・・・

剣心は女の両腕を自分の首に回すと 両足に力を込めて立ち上がった。
背中の彼女が気を失って動かないうちに、連れて帰らないと。
彼女を待っている、彼女の家族の元へ。
・・・痩せているのに、意識のない女はやけに重く。
ずぶ濡れの着物から滴る川の水が、 まるで地面に張り付く糸のように歩行の邪魔をする。
それでも、剣心は無理矢理足を動かした。
歩かずには、いられなかった。
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