杜鵑草/6-7

「賢いあんたのことだ、大方わかっちゃあいるんだろ?」
飯塚は両の袂に腕を入れて、宿屋の壁にもたれ掛かる。
巴はじろりと飯塚を睨み、その紅い唇をぎゅっと噛み締めた。
おそらくは、そうなのだ。
あの狂女の、夫を斬ったのは・・・
「あんた達が身を潜めている村里から、一番近くて賑やかな街はここだ。
 俺がここで緋村と落ち合ったって、何にも不思議な事はねぇ。
 狭い界隈で、狂人として有名な女がふらふらしていれば、 どうしても緋村の目に入らざるを得ない、と算段してたんだが」
飯塚はくつくつと喉を鳴らした。
「迷子になった狂女の捜索を手伝うことになるたぁ、ほんとに たまんねぇなあ」

飯塚のぽかりと空いた唇から、ちらちらと舌が蠢く。
(蛇)
やはり、彼は蛇だ   自分たちにとって。
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