春を告ぐ/10

再び口づけようとすると、すい、と巴の長い人差し指が、剣心の 唇を押さえた。
「いくら、わたしが白梅香を好むからと云って、花に喩(たと)えるのは やめてください・・・気恥ずかしいです」
「・・・でも」
「だめです」
巴はふふ、と悪戯っ子のように笑うと、そのしなやかな腕を 剣心の肩に巻き付けた。
(あなたは知らない)



途方に暮れて、絶望して。
殺意を抱いてあなたに出逢った。
■次へ
■剣心・巴その7へ戻る

Worksへ