春を告ぐ/9

「ん・・・んっ・・・」
酸素を求めてやや身じろぐと、それも許さないかのように剣心は ますます巴の口内の奥へ奥へと入り込んでいくかのようだ。
「・・・あ、ふ・・・っ」
意識がのぼせて、立っているのが辛くなった頃、漸く剣心は巴の 唇を解放した。
ほっと息をついた巴をそのまま抱き上げると、がた、と乱暴に雨戸を閉める。
「・・・君は知らないだろうけど」



血糊にまみれ、後悔に苛まれ。
何処へ向かって良いのか解らなくなっていた俺に。
張りつめすぎて、脆そうで。
それでいて強靱な意志で。
その白い腕を差し伸べて。
そして。
俺を人間(ひと)に戻してくれた。
「凍った世界に咲き薫る花だったよ・・・・」
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