春を告ぐ/8
「あれは、君だ」
暫しその姿と香を、愉しんでいた巴の耳に。
小さな呟きが飛び込んできた。
「おれのとっての君は、あんな形象だよ」
巴は戸惑うように目を伏せながら、微かに首を振った。
「わたしは、あんな風に潔くも凛とも、出来ませ・・・」
言葉は不意に塞がれた唇の中に封じ込められた。
やや冷えた唇が深く合わさると、無意識に逃げようとした舌を、 剣心のそれが捕まえ、熱く絡んだ。
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