春を告ぐ/3

巴の腕の中で、赤ん坊が興味深げに剣心の迷い無く動く指先を じっと見つめる。
「あ、水仙のお花!」
娘が自分の人形そっちのけで、剣心の作った折り紙を指さす。
「正解」
「おとーさん、教えて!」
袂を引っ張りねだる娘に、剣心は笑いながら「いいよ」と応えた。
まだ小さな末の子は、自分が喋れないのが悔しいのか、 じっと恨みがましい目をして姉を見ている。
「どうしたの?あなたも折り紙がしたいの?」
甘い声で訊けば、それだけで赤子は嬉しいのかへら、と 笑って。
巴の顔をその紅葉の手で触れた。
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