梅にも春/11

「巴ちゃんが、端唄なんて意外だったなあ」
「そう、ですか? お裁縫の先生の家の近くで聞こえてくるものでつい耳に憶えてしまって・・・」

連れだって久方ぶりに歩くふたりの肩は、大人の頭ひとつ分の落差があった。
細い肩を過ぎてゆるりと結ばれた彼女の漆黒の髪が、凍てついた空気を揺らす度、 愛しい気持ちが積み重なる。
真っ白な肌に、真っ赤な耳朶。
こんな彼女が花街の恋の唄を口ずさむことが可愛くて。
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