立葵/6

「大変でござるな。 遅くならないうちに帰るでござるよ」
「ありがとうございます」

去ってゆく細身の剣客を見送りながら、恵は肩で溜息をついた。
京都から帰って以来、彼は随分皆に打ち解けてきたように彼女は思っている。
(それでも)
・・・それでもそれは全てではない。
おそらく、神谷薫に対しても。
(それでも・・・)
それでもいずれ、薫は彼の全てを手に入れるだろう。
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