寄す処/9
急に力が抜けて、とさ、と巴がその場に座り込んだ。
幾松は頭を下げたのと同じ間合いで、静かに面(おもて)を上げる。
普段の華やかさを、欠片も残さず。
突き刺さるような視線で、巴を見る幾松の表情は。
増女(ぞうおんな)の能面を思わせるものがあった。
ざわりと背筋を何かが這い昇り、自分が震え出すかと巴は感じた。
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