散り菊/4

「形だけでも元服しとかないと式は挙げられないでしょう?」
ふたりの背後から威勢のいい声が飛んできた。
元・小萩屋の女将は皺の寄った口元をにやにやさせながら、これまた皺だらけの 細い腕を腰に当てている。
「飯塚さんから多少の金子は戴いてるし、予定通り祝言を挙げるかね。 まあ、立会人も客もいない式だけど」

黙りこくってふたりは女将をただ見つめることしかできない。
手花火は勢いよく火球から菊のような赤い花びらを散らし、ふたりの頬をますます 赤く染め上げてゆく。
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