散り菊/3
「・・・小萩屋の女将さんに戴いたんです」
今は燃えてしまった宿の名は、剣心と巴にとっては 忘れられない場所のひとつだ。
花火は炎の花弁を上げながら、やがて大きく弾け始める。
「もう、明日は此処から離れないと」
「ええ」
漸く巴は顔を動かして剣心の顔を見た。
「・・・元服なされたのですね」
今度は剣心が彼女から視線を外して、足元で揺れる露草の葉を見遣る。
「形だけだ」
■次へ
■剣心・巴その3へ戻る
Worksへ