影見/26

「ごめん、どうかしてた」
巴は否定の言葉だけで他になにも言いはしなかったけれど、 彼女の冷たい指先から、彼女の心が流れ込んだような気がした。
それはとても温かくて、剣心の胸の中で確かに脈を打つ。

「いいえ」

今度は彼の耳元で、彼女の吐息が、語りかける。
「・・・うん」
小さくて、細くて、そんな彼女の肩を抱きしめながら。
剣心は子供のように、縋り付いていた。

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