銀の砂/12

かたり、と引き戸が動いたような気がした。

慌てて巴は腰を浮かし、土間の方を見る。
しかしそこには彼女の待つ人の姿は無かった。

風がか細く鳴いている。
ひとりの夜はこんなに心細かっただろうか。
闇はこんなに冷たいものだっただろうか。

・・・あの人が死んでからもう自分には怖いものはないと 思っていた。
自分はもう何も感じることはできない、と思いこんでいた。
・・・それが、何を今更淋しいなどと・・・。
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