ゆずりは/6

ばたばたばた

慌ただしい足音と共に。
剣心と娘が駆け込んできた。
草履を脱ぐのももどかしそうにして。
娘は駆け上がり、比古の側を走ってゆく。
「こら!もう少しおとなしく・・・」
「おまえのガキん頃そっくりだな」
にい、と悪そうな笑みを浮かべて比古が剣心へ振り返る。
「何云ってるんですか、 せっかく酒を買ってきたのに要らないんですか?」
娘に続いてずかずかと剣心が部屋へ上がる。
巴に近づき、その酒を渡すと不機嫌そうに比古を睨めた。
くすくすと笑う巴の足に絡むように、娘がくるくる回っている。

ああ、時代(とき)が流れる、と比古は感じた。
飛天御剣流は自分の代で消滅だ。
剣心はまだ剣を振るうだろうが、それはおそらく剣の時代の終焉へ 向けて進むことになるだろう。
そして、あの可愛らしい娘の時代には、もっと別の―――


新しい葉が出るために、古い葉が落ちる。
剣心は比古自身が選んだ譲るべき葉だ。

歩け、と願う。
止まるな、と願う。



生きろ、と願う―――・・・

■剣心・巴その9へ戻る

Worksへ