ゆずりは/5

『守る』という、本当の意味を。
『幸せ』という、その在り方を。

剣心が錯綜し、惑い、嘆き。
それでも追い求めた・・・彼の生きてゆく理由を。



ああ、と巴は心の奥底で嘆息する。
剣心が人斬りに倦み疲れ、ぎすぎすと感情の水分を枯れ尽くしていても。
それでも。
最後の崖っぷちで、彼らしく在ったのは。
・・・この人に育ててもらったからだ。

「わ、たしも」
巴が酷く優しい声で、言葉を紡いだ。
「・・・わたしも、彼に教えてもらいました。
 今わたしが、生きている理由を」
比古がゆっくりと顔を上げた。
僅かな驚きが、比古の瞳に浮かんでいる。
やがて。
その切れ長の瞳を細めて。
「あの、馬鹿が、ねえ」
そうひと言漏らすと。

おそらく剣心には一生見せないであろう、微笑を浮かべた。
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