杜鵑草/7-1

どくん

巴は心臓を鷲掴みにされたような衝撃を覚えた。
「・・・だからさ、あんまり怒らないでくれよ。
 そりゃあんたまで俺の悪戯に巻き込んじまった風になっちまって、 わりぃとは思ってるからさ」
へらへらと、嗤うその表情の何処に。
『済まない』なんて感情が潜んでいるというのだろう?
精一杯の憤りを込めた瞳で、巴は飯塚の顔を見上げた。
「あ、なたが・・・!裏切り者!!」
声を抑えてはいたけれど、か細いその容姿に似つかわしくない程の 低い声が、彼女の喉から零れた。

この男は、明良さまと自分のことを知っている。
この男は、わたしが何のために“抜刀斎”に 近づいたのか知っている。
―――この、男は。
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