杜鵑草/5-3

手入れを怠った髪も、だらしない襟元も、がりがりと痩せ細った腕も。
濡れそぼって、ぽたぽたと幾つもの水滴を零してゆく。

剣心はざぶりと川に足を踏み入れると、大股で女に近づき。
やや手荒に女の右腕を掴んで引いた。
「・・・まだ汗ばむ季節とはいえ、夜中にこんなに濡れたら風邪を引きますよ」
しかし女の瞳には、剣心の姿はまるで映っていないかのようだ。
川下の方へ必死に頭(こうべ)を巡らし「いない、いない」と呟き続ける。
剣心は仕方なく、優しい声音で会話を試みた。
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