杜鵑草/5-2
「・・・ない、ない・・・居ない。
どこにも、居ない。
ねえ、“やや”が流れたの、探さないと。
見つけたらきっときっとあの人も帰ってくる」
ばん、ばん、ばん
弾き飛ぶ水音が荒く、忙しく、不規則になってゆく。
まるで己が何かに追い立てられるかのような錯覚さえ、剣心はした。
「居ない、いない、いない。
いないよぉ、見つからないよぉ・・・」
ばしゃん
両足で思い切り跳ねて。
その高く上がった水飛沫が、ぱらぱらと女自身に降り注ぐ。
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