孵化/7
まろぶ、まろぶ。
小さな彼は縺れる足を動かして、姉の元へ駆け寄ろうとする。
「姉ちゃん、姉ちゃん、姉ちゃん」
もう少し。
あと少し。
「微笑ってくれない」
老人は、彼が少し食べ残した干物を見た。
しょぼしょぼと目を瞬かせ。
以前、それでも剣を手放さなかった男を思い浮かべ。
現在、それでも古ぼけた紙の綴りを手放さない男を見る。
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