春を告ぐ/2

「あ、はいはい」
慌てて剣心は胡座をかいている己の膝の向こうの、赤い和紙を掴んだ。
ぱたぱたと器用に折って、幼女に渡す。
「どうぞ」
「ありがと」
幼女は満足そうに受け取ると、また人形で遊び始めた。
「相変わらず手先が器用ですね」
巴が男の子を抱いて、剣心と娘の傍にやって来る。
ぱちぱちと音がする囲炉裏の中心で、鍋がもうもうと煙を上げていた。

「常々思うんだけどさ、俺は女の子の遊びの方が上手だと思うんだ」
幕末に名を馳せた剣豪はあっけらかんとそう云い放つと、今度は真っ白な 和紙を手にとって折り始めた。
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