天の供物・如月/1

ちりちりと指先が痛んだ。
まだ冷たい川の水は、両手の指にこびり付いた泥を 洗い流しながら、澄んだ響きを繰り返してゆく。

「お袋」
やや明るい髪の色の少年は片手に樒(しきみ)を数本握りしめてひょっこり顔を出した。
「あーあ、桃の花くらい、咲いてると思ったんだけどなあ」
美しい深緑の葉を揺らしながら、少年は近づいてくる。
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