立葵/1

ぱたぱたと少女は走り抜けた。
後れ毛が揺れて汗が一筋、項(うなじ)を流れた。
どん、と左肘が何かに当たって漸く振り返ると 色落ちしたような紅い着物の青年が 眼(まなこ)を大きくして少女を見ている。

「ごめんなさいっ!」
慌てて頭を下げると襟元からぶらりと藍色の守り袋が零れた。
「いや、ぼうっとしていた拙者も悪いのだから・・・」
■次へ
■剣心・恵その1へ戻る

Worksへ