春を待ちながら・二章/1

俺は、壊れているのかも知れない。





いつも纏わり付くのは、錆びた鉄のような臭い。
いつも視界に薄く膜を張るのは、どろりとした深紅。

風の中に紛れる湿った雨の匂いも、
季節に合わせて色を変える落葉樹の葉も、
確かに認識できているのに。
気が付けば、血の臭いとその色しか残らない。
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