赤蜻蛉/20

そもそも、何かが抜け落ちていた。
二人で楽しく町を歩いたわけでもないし、 誰もいないところで睦まじくしていたわけでもない。
ただ、ひとつの部屋にふたりでいて、とても居心地がよかったから―――

「おしのちゃんが訝るのも当たり前か」

自分はそのつもりでも、彼と巴は本当の夫婦らしいことは なにひとつないのだから。

―――夕刻が近づいてくる。
■次へ
■剣心・巴その1へ戻る

Worksへ