一番いい方法は・・・・・・

彼女の息の根を止めること。
それは端から解っている。
この計画が破綻するとは思わない。が。
世の中に完璧ということは少ない。

もしも。
彼女の生存に気付かぬまま、あれが立ち直るとしたら。



―――――――――全てが泡沫。



だがそれでも俺は止まることは出来ないだろう。
止まることが出来ずに暴走して、衝突する。



だから。

彼女を殺してしまえばいい。
・・・だが俺の何かかがそれを拒否する。

何もかも抜刀斎のせいだ。
この期に及んでも俺を苛つかせる。
あの日から。
今も。
これ以上は真っ平だ。



あの女はその片鱗も気付かないまま、平気で俺の中に踏み込んでくる。
頼みもしない食事を作り、聞く気も起きない言葉を喋る。

抜刀斎の、女。
それだけで充分不愉快だ。
不愉快極まりない。

姉さんとは似ても似つかない粗野な人間。
年齢(とし)が近いというだけで、 ・・・何がだぶるっていうんだ。





やめろという。
こんなことはやめろという。

何を止めるんだ。
抜刀斎も俺も同じ人殺しだ。
たくさんの、人を殺した。
同じ罪じゃないか。

解らないことばかり、ほざく。

大切な人を失った。
それに対して、復讐する。
立派な、理由だ。
姉さんも、俺も、同じじゃないか。

やめろ。何故?

お前も姉さんも抜刀斎が大事なのか。
何故?

俺にだけ―――やめろと言う。
何故?

罪の重さは同じ。

何故?



「いい。ちゃんと食べなさいよ」

食事を摂るということは“生きる”ということだ。
お前は俺に生きろと言ってるのか?

何故?





・・・ふたりの咎人に、生きろと言う。
お前はその重さを知っているのか?
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